Adagio-四音の奏-
「だから、私は美瑛に行かない。あの課題曲なら私のパートを抜いてもなんとか完成できるでしょ?」
もう一度、自分自身に言い聞かせるように松浦は僕に宣言した。
「松浦…ダメだよ。…ダメだ!そんなこと、僕は納得出来ないよ!」
「どうして?太一なら私の気持ち判ってくれると思ったのに!」
う…う…あぁ…。
とうとう、松浦は泣き出した。
小さい子供のようにあふれ出る嗚咽を抑えることもせずに。