Adagio-四音の奏-
「それでも…僕は構わない。それに、碧海に比べたら松浦なんか凄く可愛い方だよ。迷惑の度合いが違うもの。」

僕は、沈黙を打ち破るように口を開いた。
“彼女の気持ちが変わりますように!”ただ、それだけを願いながら…。

だけど、無意識のうちに”可愛い”と言うところを強調してしまい、顔が熱くなるのを感じ僕は高鳴る鼓動を抑えながら更に彼女を説得し続けた。

「クマテツには適当に理由を付けてプリントの提出を明日のギリギリまで延ばして貰うから、もう一度考え直してよ。」

最後はもう神にでも縋るように…僕はプライドも意地もかなぐり捨て松浦の目の前で両手を合わせた。





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