Adagio-四音の奏-

1時間もしないうちに、僕たちは美瑛町に到着した。
「丘の町びえい」と言われるだけあって、緑、白、黒、黄色、赤…様々な作物の色でパッチワークのように彩られた丘があちこちに広がる。


「うわぁ、美瑛って初めて来たけど綺麗な町だねぇ。」

ウーチャンは美しい風景に目を奪われ、興奮を隠しきれない様子でいる。

「綺麗だろう?特に柴山の所は場所がいいからお前達も合宿の合間に、いろいろ見ておくといいぞ。」

クマテツも上機嫌でハンドルを操る。

やがて、車は細い林道に入った。
緩やかな上り坂を登っていくとやがて、木々の間に赤い尖塔の付いた可愛らしい木造校舎が見えてきた。
どうやらあそこが、柴山拓人の住む廃校らしい。

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