Adagio-四音の奏-
朝食の新鮮な野菜のサラダとベーコンエッグ、チキンスープと焼きたてのトーストは、まだまだ伸び盛りの僕達の胃袋にあっという間に消えていった。
満足そうに、近所の牧場から貰った絞りたての牛乳を飲み一息ついた僕達を、柴山先生は見回して穏やかに言った。

「さぁて…皆、食事を終えたばかりで申し訳ないが、例の課題曲、ピアノ四重奏を聴かせて貰えるかな?」


「わかりました。」


(え?)

僕と浩史、松浦は驚いて碧海の顔を見つめた。
彼の提案に誰よりも早く、丁寧に答えた碧海はニッと微笑むとレッスン場となる音楽室へ歩き出した。
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