Adagio-四音の奏-
「…でも、テクニックが素晴らしくても、一人一人の心がバラバラでは完璧な演奏とは言えないな。君たちにはまだ何かが足りないように僕は思う。君たちの演奏にはわずかに狂いがあるってことだよ。ほんの一瞬の躊躇がバランスを崩している。何か心当たりがあるんじゃないかな?」
そういって柴山先生は、ニコリと微笑んだ。
「…躊躇って!どんな躊躇が僕らにあるっていうんですか?」
碧海は、彼を睨み付けながら強い口調で反論した。
「あの…僕も具体的に教えて欲しいです。」
僕も彼に続けて柴山先生の真意を聞くべく答えを求めた。