Adagio-四音の奏-


(僕たちに足りないもの。それって…一体何だろう?)

僕はもう一度、柴山先生の言った言葉を思い起こしていた。
彼は僕たちの演奏の中に何を感じ取ったのだろう?



”私のわだかまりまで見通されているような。不思議な感じがしたの。”


(そういえば、松浦が言ってたっけ…。)

彼女の言ってたことは、当たってたのかな…。
頭の中でグルグルといろいろな考えがごちゃ混ぜになり、 訳が分からなくなった僕の足は、駐輪所へ向かっていた。
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