もう一つの【ゴル裏】〜いつかの公園のベンチで〜

まさか油断していた訳じゃなかろうトリニータの選手達の気合いを引き締める為のコールを送る。

トリニータコールの後押しもあったせいだろうか、1点ビハインドの18分。この日FW吉田孝行と共に先発の高松大樹が気迫を見せた。

右サイドからの吉田のクロスに合わせたボレーシュートがもの凄い勢いでゴールネットを揺らす。

『高松大樹、高松大樹、お前のゴールで川崎倒せ!』

この若きトリニータのエースストライカーに惜しみない拍手と歓声が沸き上がる。

(*^^)
「たかまつー!カッコイイ!吉田には負けるけどー!」

(´・ω・`)
(おいおい・・スイマセンヨッパライデ・・)

このゴールに気を良くした高松はこの日2点目のゴールを叩き出す。
34分、またしても吉田のクロスにボレーでゴールする。

高松はこの日の2ゴールがきっかけで五輪代表の切符を掴む事となる。

1点リードしたトリニータは勝利の方程式を発動。ディフェンシブルに試合を進める。

そんなトリニータDFにアクシデントが起きたのは後半72分の事だ。
相手シュートを難無くセーブしたように見えたGK岡中がうずくまる。

駆け寄るトレーナーからベンチにバツ印が送られた。
守護神岡中は突き指で試合続行不可能と判断された。
今シーズンのリーグ戦全てのゴールマウスを守って来た岡中の戦線離脱。

この試合の行方は・・。



スタジアム中が守護神岡中の戦線離脱にどよめく。

今シーズンのトリニータのGK陣は、岡中、小山、そして江角浩司の三人体制だった。

この日ベンチの控えGKは小山健二だ。
小山は1999年のJ2初参戦時代を支えてきたGKだったが、ここ数年は控えGKに甘んじていた。

突然のアクシデントに急遽準備する小山。

(´・ω・`)
(これは岡中とベンチの粋な計らいですか?)

しかし勝たなくてはならないこの試合にそんな采配をする訳はない。
現に、この試合後のリーグ戦2試合に岡中は出て来なかったのだから。

GK交代に小山の名前がコールされる。

『小山!小山!小山!小山!小山!小山!』

ゴール裏はトリニータの縁の下の力持ちに嵐のようなコールを送った。

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