もう一つの【ゴル裏】〜いつかの公園のベンチで〜
試合は予想通りに面白いものとなった。
開始早々の9分に先制を許してしまったトリニータは21分に吉田孝行のゴールで追い付く。
そのまま決定機のないまま終盤を迎え、最後の最後、89分にセットプレーで上がっていたサンドロがペナルティーエリアの中で倒される。
主審の判定はPKだ。
キッカーは倒されたサンドロ。
福岡サポーターのブーイングとトリニータサポーターの大声援の中、あっさりとPKを決めるサンドロ。
ロスタイムの福岡の攻撃も難無く防ぎ、試合は終了した。
これで大分トリニータは2002Jリーグディビジョン2の全日程を終了した。
大分トリニータは44節を戦い抜き、28勝10分6敗、勝点94の堂々たる成績で2002シーズンを首位で終えた。
このシーズンをトリニータと運命共同体として戦ってきた僕の2002年も終わりを告げた。
試合終了後には優勝パレードとセレモニーが予定されている。
僕はゴール裏の最上段でその時を待っていると、しぃちゃん達4人がやって来た。
何度となく泣いたであろうしぃちゃんの目は赤く充血していた。
静香ちゃんは真新しいトリニータのTシャツを身につけ、首にはタオルマフラーが巻かれていた。
タオルマフラーは父親にも香織さんの首にも巻かれていた。
(´・ω・`)
(まあ・・良いか・・)
(*^^)
「おい青年、しっかり応援したか?」
(´・ω・`)
「あ・・人には飲むなとか言っておきながら自分は飲んでるじゃないですか!」
(*^^)
「そりゃそうでしょ、お祝いなんだから。ね、香織さん」
ξ゚ー゚)ξ
「あ、あはは。一杯だけよ、一杯だけ」
(´・ω・`)
「ずいぶんと仲良くなったみたいじゃないですか・・」
(*^^)
「お、何だい?ヤキモチかい?青年」
(´・ω・`)
(ダメだこりゃ・・)
セレモニーも終盤に差し掛かり、選手、スタッフらがビッグアイのサポーターに挨拶する為、ゆっくりとグラウンドを一周している。
ゴール裏で待っている僕らの前に来た時に一際大きな声でしぃちゃんが叫んだ。
(*^^)
「吉田ぁぁぁぁぁ!ありがとぉぉ!」