もう一つの【ゴル裏】〜いつかの公園のベンチで〜

2002Jリーグディビジョン2の大分トリニータ最終節全てを見届けた僕らはビッグアイを後にした。

駐車場までの道を歩いている時にちょうどあの時のベンチの前に差し掛かる。

(*^^)
「ねぇ。ここで一枚写真撮って貰おうよ!」

(´・ω・`)
「このベンチはしぃちゃんの具合が悪くなった時の・・」

(*^^)
「何かさ。ここがあたし達のスタートって気がしない?」

僕的な「スタート」の意味を考えれば市営陸上競技場なのだが、しぃちゃんにはここのベンチが「スタート」らしい。

香織さんにデジカメの操作方法を教え、シャッターを押して貰う。

二人並んでピースサイン。

ξ゚ー゚)ξ
「はい、チーズ!」

(*^^)
「なんか違うくない?・・やっぱお姫様抱っこでしょ?」

(´・ω・`)
「えええ!ここでですか?」

人の流れは穏やかなものの、それでも結構な人達が僕らを追い越して行っている。
それに父親の前だ。

(*^^)
「あの時はしてくれたじゃん、お姫様抱っこ」

(´・ω・`)
「あの時はしぃちゃんの具合が悪いと思ってたからでしょ?」

(*^^)
「もー、つべこべ言わないの!早く抱っこ!」

両腕を前に差し出し、じだんだを踏むしぃちゃん。

ξ゚ー゚)ξ
「別に減るもんでもないんだし、抱っこしてあげれば?」

明らかに面白がっている香織さんが笑いながら言う。
父親は静香ちゃんを背中でおぶったまま静かに状況を見守っていた。

ここでいつまでも言い争っていてもしょうがないと思った僕は渋々ながらしぃちゃんを抱き抱えた。

(´・ω・`)
「しぃちゃん・・なんか重くなってません?」

(*^^)
「失礼ね!そ、そんな事は無いよ!」

ξ゚ー゚)ξ
「ほらほら、二人共喧嘩しないの。笑って笑って」

『カシャッ!―――』

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