もう一つの【ゴル裏】〜いつかの公園のベンチで〜

大分自動車道から長崎自動車道へ、途中二度ほどPAで休息をとった。日曜と言う事もあり、PAは混んでいた。
特に青いトリニータのレプリカユニホームを着た人達の多さに驚いた。

(´・ω・`)
(一体、何人のサポーターが鳥栖に集まるんだろう?)

しぃちゃん情報によると、ツアーバスだけでも10台以上出るそうだ。
同じ九州同士の対決、しかも最終戦、更に大分はまだJ1昇格のチャンスが残されているとなれば僕みたいなニワカなサッカーファンにとっても注目の試合である事は間違いない。

何かが起きる。
そんな期待が込み上げてきた。



長崎自動車道の鳥栖I.C.で高速道路に別れを告げ、国道3号線を久留米方面に直進する。八坂橋を渡って右折。

カーナビの着いてない僕の車をしぃちゃんは完璧なまでにナビゲーションする。

スタジアムの無料駐車場を避け、鳥栖駅近くの有料駐車場へ車を預け徒歩で鳥栖スタジアムに向かう事にした。
これもしぃちゃんのアドバイスである。

「虹の橋」と言う遊歩道をを渡れば鳥栖スタジアムは目の前だ。

途中、大分駅で会ったしぃちゃんの友達らと合流した。女性4人の中に男は僕だけ。冷汗をかきつつ挨拶を済ませる。
しぃちゃんの友人達の品定めをする様な視線が痛い。

しぃちゃんにすがるような視線を投げかけるとニコニコ笑いながら「うん」と頷いた。

(´・ω・`)
(はあ?・・訳解らん・・)

しぃちゃんとはここまで来る途中の車の中で色んな話をした。サッカーの事、仕事の事、家族の事。
この約5時間の間に少し、ほんの少しだけど、しぃちゃんの事が分かった様な気がした。
そして僕の心の中に大きな何かを刻んでいく。

キックオフのちょうど2時間前に僕らは鳥栖スタジアムの開門ゲートを潜った。

通路を抜けると、目の前にピッチの緑が広がる。
「サッカー専用スタジアム」
鳥栖スタジアムは本当に綺麗なスタジアムだった。

僕が足を止め、ぼーっとしていると、

(*^^)
「こっちだよー。今日はあたしに付き合って貰うからねー」

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