もう一つの【ゴル裏】〜いつかの公園のベンチで〜
15分位かけてようやく1ブロックを拭き上げ、最上段で大きく息をつく。
(・∀・)
「お疲れ!もう良いわ。他も大体終わったみてーだし。一服しよーぜ」
喫煙所へ行きタバコを取り出しジッポで火を燈す。
その人はジャンバーのポケットをゴソゴソやって「ほいっ」とチューパックのコーヒーを投げて寄越した。
(・∀・)
「それ、今日の日当」
悪ガキがそのまま大人になったような人が笑顔で僕を見ている。
(´・ω・`)
「どうも・・」
言いかけた所で携帯の着信が鳴った。
しぃちゃんからだった。
僕らは短いメールのやり取りの後で再会した。再会したとはちょっと大袈裟かも知れないが、スタジアムで会ったのはおよそ半年振りだったし、なによりこの日を待ち侘びた二人には感動的な再会だった。
この日の為に僕らには約束事があった。
(*^^)
「ビッグアイに行ったら一緒に写真撮ってもらおー」
(´・ω・`)
「それはちょっと恥ずかしいかもです」
(*^^)
「何言ってんの?今年は記念すべき年になるんだから、恥ずかしがってる場合じゃないよ」
(´・ω・`)
(何の記念なんだか・・)
(*^^)
「それに奮発してデジカメ買ったし!」
(´・ω・`)
(使いたくてしょうがないみたいです。高かったんでしょ、それ)
しぃちゃんは辺りをキョロキョロと見回すと、ボランティアスタッフであろう人にシャッターを押して貰うように頼みに行った。
(´・ω・`)
(すいません、忙しいのに)
僕らはスタジアムの大型ビジョンを背に立つとカメラに向かった。
「1+1は?」のベタな掛け声にはビックリした。
(´・ω・`)(*^^)
「にー」
満面の笑みでピースサインをしているしぃちゃん。
直ぐさま画像を確認して、ボランティアスタッフさんは開放された。
(´・ω・`)
(これ、毎試合やるそうです・・)
ゴール裏の席に行くまでに「久しぶりー」「お疲れ様ぁ」と声を掛けながら歩くしぃちゃん。
顔見知りの人が挨拶を返してくる。
僕はペコペコとお辞儀しながら席までの階段を下っていった。