もう一つの【ゴル裏】〜いつかの公園のベンチで〜
駐車場に停めてある車の助手席のドアを開け静かにしぃちゃんを座らせる。
僕はそのまま話し掛けた。
(´・ω・`)
「どうしますか?このまましぃちゃんの家に帰りますか?」
(*^^)
「帰っても一人だから・・アパート行っちゃダメ?」
そうだ、お母さんはしぃちゃんの妹夫婦の家に泊まりで出掛けている。
姪っ子の誕生日を祝う為に。
ちなみに妹は福岡に住んでいる。
僕は一瞬「しまった」と思った。
これじゃまるでしぃちゃんの事を煙たがってるみたいじゃないか。しぃちゃんに変な風に伝わってなければ良いが。
(´・ω・`)
「あぁ、お母さん・・じゃあ僕のアパートへ行きましょうね」
僕はその場を取り繕うように言うと運転席へと回り込んだ。
しぃちゃんはリクライニングを少し倒して手をお腹の上に置いていた。
駐車場から国道へ車を向けた。
土曜日の夕方、10号線は車の往来が途切れない。
僕は焦れる気持ちを抑え、車が途切れるのを待った。
ちょっと先の信号が赤に変わると車の流れが途絶えた。
その隙に駐車場から出れた。
米良バイパスを目指す。
しぃちゃんは無言のまま手をじっとお腹の上に置いたままだった。
(´・ω・`)
「何か買い物して帰りましょう。食べたい物ありますか?」
(*^^)
「ううん。何も・・」
いつもなら真っ先に「とり天!」とか「お寿司!」とか言うのに。
(´・ω・`)
「何か食べた方が良いですよ」
(*^^)
「ホントに・・何も欲しくない・・」
(´・ω・`)
「そうですか・・」
重苦しい空気が車内を覆う。
僕は参っていた。当たり前だが、こんなしぃちゃんを見るのは初めてだ。明るく元気で、お転婆なしぃちゃんがここまでへこんでいる。
(´・ω・`)
(病院であんな事を言われちゃ当たり前か・・)
米良バイパスの料金所を抜け、加納交差点を左折。
もう少しで僕のアパートだ。
アパートの駐車場には当然の如く、僕の車が停めてある。
しぃちゃんが泊まりに来るようになってからは近くの月極めを借り増ししていた。
いつもは僕の車を月極めの方に停めるようにしていたのだが、今日はそのまましぃちゃんの車を月極めに停めた。