もう一つの【ゴル裏】〜いつかの公園のベンチで〜
ピィーーーーッ!
やかんが沸騰した事を告げる。
僕は「ちょっと」と声を掛け、優しく身体を離した。
ガスコンロの火を止め、ティーポットにお湯を注ぐ。
しぃちゃんのブレンドした紅茶の葉が少しずつ開いてゆく。
ティーポットとカップを2個持ってソファーに戻る。
テーブルにカップを並べ、紅茶を注ぐ。
香ばしい匂いが鼻孔をくすぐった。
僕はカップを一つ、まだしゃくり上げてるしぃちゃんに差し出した。
(´・ω・`)
「これ飲んで。落ち着きますよ」
しぃちゃんは手の甲で涙を拭うと両手でカップを受け取った。
鼻を啜り上げながらもカップを口元に持ってゆき、「フーッ」と息を吹き掛ける。
何度か「フーッ」を繰り返し、一口啜る。
(*^^)
「・・あったかいね」
泣きながら笑う。
冷え切っていた部屋も少しずつ暖まっていった。
僕らは無言のまま紅茶を飲んでいた。
何も音のない部屋に紅茶を啜る音だけが響いていた。
カップの中身を半分くらい減らした時、僕はおもむろに言った。
(´・ω・`)
「着替えませんか?あ、それかお風呂容れましょうか」
スタジアム帰りの僕らはまだレプリカユニのままだった。
今思えば、病院にもこの格好で行った。
胸に入った「ペンタくん」の文字がみょうに恥ずかしい。
(*^^)
「そうだね。じゃあ一緒に入ろうか」
(´・ω・`)
「え?・・・」
(*^^)
「あはは、うそうそ。お風呂は・・まだ良いや」
(*^^)
「じゃあ、着替えて来るね。洗面所良い?」
(´・ω・`)
「はい。僕は寝室で着替えます」
一緒にお風呂、ちょっと喜んだのに・・残念だ。
(*^^)
「覗かないでよ」
(;´・ω・`)
(ギクッ!)「は、はい」
しぃちゃんは昨日から置いてあった自分の荷物を持って洗面所へと消えて行った。
(´・ω・`)
(良かった、ちょっと元気が出てきたかな?紅茶のおかげだな)