もう一つの【ゴル裏】〜いつかの公園のベンチで〜
休日の病院は静かだった。
さっきまで居たビッグアイの喧騒がまるで夢のように感じられる。
病室の前でノックする。
「はぁい」
しぃちゃんの返事と共に扉を開ける。
そしてガッツポーズ。
(*^^)
「勝ったの?!やりぃー!」
持っていた雑誌を頭の上に掲げ、大喜びだ。
(´・ω・`)
「し、静かにして下さい。病院なんですよ」
(*^^)
「あ・・・」
僕はベットに近づく。しぃちゃんと手を「パチン」と合わせる。
(*^^)
「で?どうだったの、試合の内容は」
僕は勿体振るように、しぃちゃんに試合の様子を話した。
途中「それでそれで?」と急かすしぃちゃん。
話し終えた時にはもう薄暗くなっていた。
看護師さんが院内食を運び込んで来たのを潮時に、僕は帰ろうとした。
(*^^)
「明日は――――」
(´・ω・`)
「はい。早目に来ますよ。お母さんも明日は来るって行ってましたから」
気丈に振る舞ってはいるが、内心は不安なのが手に取るように解る。
僕はそっとしぃちゃんを抱きしめる。
(*^^)
「あたし・・明日になると色々変わっちゃうかも知れない。それでも・・・・」
(´・ω・`)
「大丈夫、大丈夫です。しぃちゃんは何も変わらないし、僕も変わりませんから」
僕の肩に乗ったしぃちゃんの顎先が「コクン」と動くのが感じられた。
僕はしぃちゃんのレプリカユニホームを病室のカーテンレールにハンガーを使って引っ掛けた。
(´・ω・`)
「吉田孝行もがんばれって言ってたんだから、がんばりましょう」
(*^^)
「だね。がんばんなきゃ・・ね」
僕は「じゃあ、また明日」と言って、病院の扉を静かに閉じた。
病院の外はすっかり夕闇に包まれていた。
僕は病室の窓を見上げて呟いた。
(´・ω・`)
「がんばれ!しぃちゃん」