もう一つの【ゴル裏】〜いつかの公園のベンチで〜

(´・ω・`)
「お盆には一緒に帰省するじゃないですか」

(*^^)
「うん。そうだね。海見てたらお父さんの事考えちゃって・・」

父親もしぃちゃんに会うのを楽しみにしていた。



火照った身体をビーチ備え付けのシャワーで冷やしてから僕らは田ノ浦を後にした。

帰りにスーパーで夕飯の買い物をする。
素麺とスイカ。

(*^^)
「あ、花火!ねぇねぇ花火」

(´・ω・`)
「良いですね。あの公園でやりましょうか」

僕らは「手持ち花火のセット」を買った。
近所の小さな公園で打ち上げ花火は危険だと思ったからだった。

しぃちゃんの造った素麺はちょっとユニークだった。
人数分を皿に取り分け、その上にきゅうりや金糸卵などの具をトッピングしていく。
まるで冷し中華みたいな素麺。
本当にこの人の料理のセンスには呆れる。

(´・ω・`)
(裁縫のセンスはまったくないですけど)

夕飯を済ませて近所の公園に向かう。
小さなバケツと花火を持って。

(´・ω・`)
「花火なんて何年もしてません。大学の時以来ですよ」

(*^^)
「そお?あたしは毎年してるなぁ。妹の子供達とだけど」

花火は綺麗に僕らの周りだけを照らす。煙りの向こうにしぃちゃんの笑顔が闇夜に浮かぶ。

最後に線香花火に火を着ける。二人とも言葉はない。線香花火に集中していた。
「ジジジ、パチパチッ、ポトン」
もう一度―――

もう一度―――

残り一本に火を着けた時にしぃちゃんが口を開いた。

(*^^)
「ねぇ、トリニータが昇格したら、またここで花火したいな」

(´・ω・`)
「11月に花火は売ってませんよ。今のうちに買っといた方が良いですね」

(*^^)
「頭良いねー。そうだ、買っとこう、買っとこう」

僕らは笑いながら最後の線香花火が落ちるのを見ていた。









ある日の夜。テーブルの上の携帯がけたたましく振動を始めた。
時間を見ると夜中の1時を回った所だ。

(´・ω・`)
(こんな時間に誰だろう?)

携帯のディスプレイは香織さんからの着信を知らせていた。

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