もう一つの【ゴル裏】〜いつかの公園のベンチで〜
(´・ω・`)
「はい・・」
ξ゚ー゚)ξ
「もしもし、私、香織・・」
(´・ω・`)
「はい。わかります。どうかしたんですか?」
ξ゚ー゚)ξ
「こんな時間にごめんね・・私、子供連れて家飛び出しちゃった・・」
香織さんの話では、旦那には浮気相手がいる。それを今日覚悟を決めて問いただした所逆切れされ、殴られた。その手は子供にも及びそうになった為、着の身着のままで家を飛び出した。
旦那に見つかるのを避ける為、友達の所にも行く事が出来ずに今までファミレスに居たが、子供を抱えたままずっと居るには周囲の視線が痛い。
困り果てた末、僕に電話してきた―――。
香織さんには僕のアパートは知らせていない。
レンタルビデオ店の会員名簿を見れば一目瞭然なのだろうが、さすがにそこまではしていないだろう。
僕は実家に帰る事を薦めたが、車は家の駐車場。辛うじて財布は持ち出せたものの手持ちは少ない。
実家までは車で約1時間半はかかる。
ξ゚ー゚)ξ
「一晩で良いから―――」
僕は面倒臭い事に巻き込まれるのはごめんだ。まして泊めるなんてとんでもない。と、思ったが一緒に連れている子供の事を考えると、無下に断るのも気が引けた。
(´・ω・`)
「一晩だけですよ――」
僕は香織さんにアパートの場所と部屋番号を教えた。
この時にしぃちゃんに連絡しようかと迷ったが、時間が時間だったから事後報告でも構わないか、と軽く考えてしまったんだ。
この考えが大きな間違いだったと気付くまでにはそう時間は掛からなかった。
何が何でも教えておくべきだった――。
部屋のチャイムが鳴り、玄関のドアを開けた。
目の前に飛び込んできたのは左の瞼を大きく腫れ上がらせた香織さんだった。
化粧っ気の無い素顔を髪で隠そうとしているものの、腫れ上がった瞼を隠しきれる物ではなかった。
香織さんの首に両手を巻き付け、眠っている女の子がたまらなくいじらしく感じた。
「ごめんね、ごめんね」と繰り返し言う香織さんを僕は部屋へ招き入れた。
ソファーはあんまりだからと、女の子を僕のベットへ寝かした。
女の子は「ビクッ」とし、一瞬目を大きく見開いたものの睡魔には勝てなかったのだろう、次第にスヤスヤと寝息をたてていった。