もう一つの【ゴル裏】〜いつかの公園のベンチで〜
再来週は式場を見に行く予定にしている。
次々と段取りを踏んでいくと追い詰められていくような感覚になる。
これがいわゆるマリッジブルーなのだろうか?
今日はしぃちゃんが家の食事当番と言う事で、僕らはPARCO前で別れた。
別れ間際に僕の部屋の合鍵を借りた。
しぃちゃんは少し怪訝な顔をしたが、「会社に忘れたみたい」と言う僕の言葉ですんなり借りる事が出来た。
(´・ω・`)
「じゃあ、また」
(*^^)
「週末ね」
僕らは合言葉のように言うと、別々の方向へ歩き出した。
アパートの自分の駐車スペースに車を停め、部屋に向かう。
ドアキーを差し込み回すが手応えが違う。
まさか―――。
玄関を開け、中に入るとそこにいた――。
香織さんが今にも夕飯の準備に取り掛かると言わんばかりの出で立ちで「あ、お帰り〜」と言った。
香織さんの陰に隠れるように小さな姿も見てとれた。
(´・ω・`)
「ちょ!何やってるんですか?」
ξ゚ー゚)ξ
「あ、お帰り〜」
(´・ω・`)
「お帰りじゃないですよ。一体今日は何していたんですか」
僕はさすがに我慢の限界と言ったところで問いただした。
もしこの部屋にしぃちゃんと帰って来たら、と思うとゾッとした。
ξ゚ー゚)ξ
「何って?ずっとここに居させて貰ってた。さっきそこのスーパーで――」
言い終わらないうちに僕は言った。
(´・ω・`)
「携帯を何度鳴らしたと思っているんですか?人がどれ程心配したと」
ξ゚ー゚)ξ
「あ・・携帯の電源入れてないの。旦那が何度も掛けて来て怖くって・・」
急に怯えたような声になる。
まあ、それはそうだろう。今頃旦那も必死になって探している筈だ。連絡をさせた方が良いだろう。
(´・ω・`)
「旦那さんに連絡入れた方が良くないですか?そのうち大事になりませんか?」
ξ゚ー゚)ξ
「そうね。でも私達がいなくなって清々していると思う。旦那はあの人の方が大切だから・・」
僕は掛ける言葉を失った。僕としぃちゃんは結婚に向かって進んでいる。それなのに香織さんと旦那は離婚に向かっている。
なんと言う皮肉だろう。