もう一つの【ゴル裏】〜いつかの公園のベンチで〜
僕はとりあえず携帯の電源を入れるように薦めた。
香織さんは携帯を取り出すと電源を入れた。
入っていた留守電の数は40数件だった。うち僕のが2件。保育園から1件。残りは全て旦那からだ。
渋々留守電を聞いていた香織さんの顔色が変わる。
僕は携帯を受け取り耳を当てた。
愕然とした。
とても言葉には出来ないような事を携帯の留守電に吹き込んでいる旦那。
殺す――覚悟しとけ――
僕は香織さんと静香ちゃんの身の危険を感じた。
香織さんは放心状態でガクガクと震えていた。心配そうな静香ちゃん。
(´・ω・`)
「警察に行きましょう。この人はもう駄目です。二人だけで会ったら何するか――」
僕はもう係わり合いになりたくない等と言える状況ではないと判断した。
香織さんは真っ青な顔で、ただ「ごめんなさい」を繰り返すばかりだった。
静香ちゃんは「ママ、頭痛いの?オメメ痛い?」と香織さんを気遣かっている。自分の置かれた状況も解らぬままに、ただ香織さんの事だけを見ていた。
僕は香織さんを何とか説得し、警察に行く事を決意させた。
三人でさあ出ようと言う時に玄関からチャイムの音がした。
玄関には鍵がかかっていない。
しまった―――。
と、思った時には既に遅かった。
ゆっくりと開く玄関のドアをただ見つめる事しか出来なかった。
(´・ω・`)
(旦那か?でも一体どうやってこの部屋を・・)
香織さんの方を見る。立ち尽くしたまま玄関を凝視している。
部屋中を緊張感が走り抜けた。
(*^^)
「さっき様子が変だったから―――」
やって来たのはしぃちゃんだった。
しぃちゃんも玄関先で動かなくなった。
お互いの視線が交錯する。
(*^^)
「あ・・何これ?部屋間違えてないよね・・」
(´・ω・`)
「しぃちゃん!これには・・・」
僕が言い終わらないうちにしぃちゃんは踵を返すと走って行った。
僕は慌てて後を追った。さすがに足が速い。公園の手前で追い付いた。
腕を掴み、振り向いたと同時に平手打ちが僕の頬を張った。
(*^^)
「ばか!最低!」