もう一つの【ゴル裏】〜いつかの公園のベンチで〜
再び走り去ろうとした所を引き留める。
(´・ω・`)
「しぃちゃん!お願いだから話を聞いて!」
(*^^)
「もう!止めて!ばかばかばか!」
しぃちゃんの目から涙がボロボロ落ちる。
今の僕にはそれを止める術はない。
掴んでいた腕を振り切られ、しぃちゃんは夜の中に駆けて行った。
行ってしまった―――。
僕にはもう追い掛ける勇気は無かった。今は説得出来ない。そう判断したからだ。
駐車場から車の出る気配がした。僕はしぃちゃんの車のテールランプを見送るしか出来ないでいた。
とぼとぼと部屋の前まで帰り着く。玄関は開き放たれていた。僕が部屋に入ると隠れていたらしく、浴室から二人が姿を現した。
ξ゚ー゚)ξ
「ごめんなさい!変な風に誤解されちゃった?」
(´・ω・`)
「わかりません。逃げられちゃいました・・それより警察行きましょう。せっかく決心したんだから」
ξ゚ー゚)ξ
「良いの?ほっといて」
(´・ω・`)
「良い訳ないですよ。でも今は何を言っても無駄だと――」
僕は腹の底から後悔していた。話すチャンスはいくらでもあったのに。
自分を呪った。
二人を車に乗せ、中央署へと向かった。
一階の受付で事情を話し、二人を刑事に引き渡すと僕はロビーのソファーへ崩れるように座った。
疲れた。何もしたくない。何も聞きたくなかった。
ただしぃちゃんの事が心配でしょうがなかった。
あの状態で家まで無事に帰り着くだろうか?
もう少ししたら電話をしてみよう。
今はただ何もする気が起きなかった。
ふとロビーに設置されてあるタバコの自販機が目に入った。
フラフラしながら近付き小銭を入れる。
白いパッケージからタバコを一本取り出し、口にくわえる。
そこでライターを持っていない事に初めて気がついた。
タバコを辞めていたから。
僕は受付の中の刑事にライターを借り、辞めていたタバコに火を点けた。