もう一つの【ゴル裏】〜いつかの公園のベンチで〜
ともあれ、前半を0-0で折り返す。
ハーフタイム中に僕はまりちゃんや他の友達にしぃちゃんの『条件』を説明した。
(´∀`*)
「しぃ・・あんた・・」
まりちゃんは開いた口が塞がらないとでも言う顔で呆れていた。
しぃちゃんはと言うと、前を見据えたまま薄ら笑いを浮かべてる。
(*^^)
「大丈夫。絶対勝つよ」
運命の後半戦のキックオフ。
前半51分。左サイドをボールを持ったまま最終ラインから駆け上がる有村。そのまま一旦中央へボールを預け、ペナルティエリアに切り込む。ワン・ツーで再びボールを足元に入れると一閃、左足を振り抜いた。
ボールは鋭いグラウンダーでゴールネットを揺らした。
ゴーーーーーール!!!!
やった!先制だ!
この試合のモヤモヤしたものを一気に吹き飛ばす有村のファインゴール。
(´・ω・`)
「凄い!凄い!凄い!」
僕は鳥栖で初めて見た有村のプレーを思い出していた。あの時から何か惹かれるものを持っている選手だった。
先制したトリニータは強い。
当然前掛かりになる新潟の攻撃をことごとく跳ね返すDF陣。
カウンターで攻め込む攻撃陣。
と、その時ピッチ中央でアンドラと交錯して新潟の選手が一人倒れた。
胸に手をやりながら近付く小川主審。
アンドラに差し出したカードの色は赤かった。
(´・ω・`)
「ちょ!そんなに酷いプレーじゃなかったのに!」
再びスタジアムはブーイングの嵐だ。
喰って掛かるアンドラ。
なだめる浮氣キャプテン。
残りの時間を10人で戦わなくてはならなくなったトリニータの戦士達。
ゴール裏も必死に戦っていた。
トリニータは1点を守りきる為にディフェンシブになる。一人少ない状況では致し方なかった。
その時間も残り5分となろうとしたその時。
自陣ペナルティエリア内でサンドロが相手選手に突っかけて倒してしまう。
そしてサンドロに今日二枚目のイエローカードが突き出される。
「またか!」
スタジアムのブーイングははっきりと主審の小川さんに向けられていた。
トリニータは残り時間を9人で、しかもPKを与えてしまった。