もう一つの【ゴル裏】〜いつかの公園のベンチで〜
第9章〜融解〜

「岡中っ!岡中っ!岡中っ!岡中っ!岡中っ!岡中っ!岡中っ!岡中っ!」

新潟マルクスがPKポイントにボールを置く。
スタジアムは割れろとばかりの岡中コールだ。

(´・ω・`)
「お願いします!岡中大明神様!」

遠いゴールマウスのGK岡中に全てを託す。

岡中は長い両手を目一杯広げ、腰を少し落とした。
マルクスが助走に入る。
岡中が跳んだ。

右に!

ボールは中央、岡中の足元をかすめるようにしてそのままネットを揺らす。

「あ〜〜〜〜〜・・」

ため息とも落胆ともとれる声がスタジアムを包む。

「ピッ、ピィーー!」

主審小川さんの笛がゴールを告げる。

終盤の同点弾。

それでもトリニータは諦めない。9人と言う数的不利だが、FW高松を投入してあくまでも勝点3にこだわり続ける。

「トーリニータッ!トーリニータッ!トーリニータッ!トーリニータッ!」

(`・ω・´)
「トーリニータッ!トーリニータッ!トーリニータッ!トーリニータッ!」

声よ潰れろとばかりに一層コールが高くこだまする。
残り4分+ロスタイムに望みを賭ける。

(´・ω・`)
(サッカーの神様・・お願いします・・もう1点・・)





しかしこの日サッカーの神様はビッグアイには舞い降りて来なかった・・。

無情にも時間だけが過ぎて行く。
そして主審の笛が戦いの終わりを告げた。

両チームの選手達は精魂尽き果てながらも整列し、戦いは終わった。

かに見えた。



整列後に主審の小川さんを取り囲むトリニータの選手達。
「納得いかない!説明して下さいよ!」
キャプテン浮氣が執拗にも小川さんに食い下がる。

(*^^)
「審判さいてー!」

(`・ω・´)
「審判最低!審判最低!」

「審判最低!審判最低!審判最低!審判最低!」

ゴール裏から、バックスタンドから、驚いた事にもメインスタンドからも「審判最低」コールが叫ばれ続けた。

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