もう一つの【ゴル裏】〜いつかの公園のベンチで〜
第12章〜リベンジ〜
しぃちゃんはタッパの中に作り立てのおかずを次々に詰めて行く作業をしていた。
(´・ω・`)
「何人分作ったんですか?」
(*^^)
「えーっとね、いっぱい。梅のおにぎりもあるよー」
ニコニコしながら言う。
僕はしぃちゃんのお陰で梅干しを克服していた。大好きになった訳ではないが、一つ位食べても平気だ。
テレビのスイッチを入れた。NHKで天気予報を見る。九州地方は曇、午後から晴れるらしい。秋天のご機嫌はおおむね良好だ。
玄関のチャイムが「ピンポ〜ン」と鳴る。
(*^^)
「来た!」
しぃちゃんがパタパタと玄関に向かう。
玄関の開ける音がカチャっと聞こえる。「おはよー」「おはよ。もうちょっとだから上がって待ってて」
「お邪魔しまーす」
(´・ω・`)
「あ、おはようございます」
(´∀`*)
「おはようございます。なんかすっかり元通りだねぇ」
(´・ω・`)
「そう見えます?だったら良いんですけどね・・」
僕は立ち上がりソファーをまりちゃんに譲ると、寝室に着替えに向かった。時計を見ると6:00ジャストだった。
「お待たせー」「ぜんぜん」
そんな二人のやり取りを聞きながら、着替えを済ませ荷物を持つ。
いざ!鳥栖へ!
去年の最終戦の時と同じルートでやって来ました鳥栖スタジアム。
天気予報の通り、朝はどんより雲っていた空も段々明るくなり、今では太陽も顔を出していた。
大分から約5時間。試合開始2時間前に鳥栖スタジアムに到着した。
ゲートをくぐり、アウェーのゴール裏へと向かう。
サポーターズクラブの人に段幕の場所を確認して3人で取り付けた。
《GET GOAL!9吉田孝行》
それから僕らはしぃちゃん手作りのお弁当を食べ、臨戦体制へ突入する。
まるでなにもかもが去年と同じように感じた。
一気にあの悔しさが蘇って来る。
――J1昇格を賭け、必死になって応援した――
36節を終えサガン鳥栖は勝点33の10位。
しかしこの順位はあてにならない事は分かっている。
この試合も大分のJ1昇格を何とか食い止めようと必死になって来るに違いなかった。