【ひな祭り短編-2009-】初恋の味はひなあられ。
「サキちゃんは本当に優しい子。おばあちゃんの自慢の孫だよ?」
ブンブンブン。
あたしは首を横に振る。
「おばあちゃんが悲しむと思って言うの我慢してたんだよね?十分優しい子だよ。ありがとう」
その言葉で涙をポロポロこぼしながら顔を上げると、おばあちゃんはにっこり微笑んでいた。
「ヒロ君もありがとう。おばあちゃん、来年はもっとすごいお人形作らないとね。サキちゃんが自慢できるくらいの」
「うん!」
涙でぼやけて見えたヒロ君は、照れくさそうに鼻をすすった。
「さぁ、お茶が冷めちゃうからおやつにしましょうか。せっかくサキちゃんがいれてくれたんだものね」
「うん」
そうして、おばあちゃんとヒロ君とあたしの3人は、ひなあられとお茶で少し遅めのおやつにした。
おばあちゃんはずっとニコニコ笑っていて、「今度はヒロ君にも何か作ってあげるね」と指きりげんまんをしていた。
ヒロ君はすごくうれしそうに指を絡めて、「鯉のぼりがいいな!それと、また遊びに来るね」と約束していた。