【ひな祭り短編-2009-】初恋の味はひなあられ。
「よし。なんだかよく分からないが、2人は知り合いだということで。春野さんの指導は大崎君に任せることにします。いいですか?2人とも」
ほかのスタッフたちが「2人は知り合いなの?」と顔を見合わせて驚いてると、部長が空気を仕切り直すように話題を変えた。
「はい!任されます!」
勢いよく返事をした陽路君はヤル気満々な顔で頷く。
「は……はい。分かりました」
とは言ったものの、あたしはまだ半分も理解できていない。
「俺、高校の頃からずっとバイトしてて。専門学校行って資格取って。んで、この春めでたく正規雇用になったわけ」
「あ、そ、そうなの……」
「だから、同じ新人でも、俺のほうがキャリア長いから。なんでも頼って」
「……ありがとう。よ、よろしくお願いします」
見違えた……。
昔から頼りになる、頼りになるって思っていたけど、こんなにもとは想像していなかった。
それに、十何年ぶりの再会。大人になった陽路君とまさかここで会えるとは思っていなかった。
夢、一緒だったんだ。