【ひな祭り短編-2009-】初恋の味はひなあられ。
「では、先延ばしになっていた春野さんの歓迎会を始めようと思います!」
ホーム近くの大きな公園。
仕事で出られないスタッフもいるけれど、あたしの歓迎会兼お花見として、週末にみんなで集まることになった。
先頭に立って乾杯の音頭をとるのは部長。昼間から缶ビール片手に1人で大盛り上がり。
「ちょっ……部長!サキちゃんだけの歓迎会じゃないじゃないっすか!ねぇ、俺はぁ?」
その横で“俺は無視なの!?”と子どもみたいにすねる陽路君。……同じく缶ビール片手だから、なんとも不思議な感じなんだけど。
「大崎君はいいんだ!就職祝いに飲みに連れていってやっただろうに!今日は春野さんだけだ!」
「ちぇっ……」
いとも簡単に部長にあしらわれると、陽路は今度はだだっ子のように口元を尖らせた。
「部長!コントはもういいですから!早く騒ぎましょ!」
間に入ってきたのは、お酒が恋人というほどの無類の酒好き・佐藤さん。
あたしより5つ年上の、頼れるお姉さん。……というよりは“アネゴ”の表現が似合う人。