【ひな祭り短編-2009-】初恋の味はひなあられ。
「ちょっと佐藤さん!酒好きなくせに酔っ払うの早すぎですって!サキちゃん、困ってるじゃないっすか!」
と、そこへ陽路君が現れた。
「ごめん、サキちゃん。佐藤さんって、飲むといつもこうなんの」
「はは……」
もうすっかり酔っ払ってハイテンションの佐藤さんは、あたしと陽路君が苦笑いしている間に部長に絡んでいた。
「で、部長もああいう人だから、いっつも佐藤さんと悪ノリして騒いじゃうんだよ」
「もうオジサンなのに体力あるよね、部長も。ふふっ」
「だな!」
肩を組んで大熱唱する部長と佐藤さんを横目に、こっそりそんな会話をする。
陽路君がこのホームにいなかったら、あたしはきっと、みんなと打ち解けるのがもっと遅かったと思う。
いい人たちばかりで働きやすいんだけど、それぞれのキャラが濃すぎちゃって。
部長と佐藤さんがそのいい例で、なじんでいくのに少しばかり時間がかかりそうだったんだ。
「あ、佐藤さんのとこ空いてるけど、座る?」
「あぁ、じゃあ、遠慮なく」
「うん」