【ひな祭り短編-2009-】初恋の味はひなあられ。
「あらぁ〜!サキちゃんじゃないの!?何年ぶりかしらね、すっかり大人の女性になって!!」
陽路君の家に着いたとたん、懐かしい声と顔にどーんとお出迎えされたあたし。
「おばさんもお変わりなくて何よりです。せっかく戻ってきたのにあいさつにも伺えなくて……」
陽路君のお母さんは、あの頃とちっとも変わってなくて。
「そんな堅苦しいことを言う間柄じゃないでしょ?さあ、さあ、上がって!」
「はい」
……むしろパワーアップしてた。
おばさんにぐいぐい腕を引かれてリビングへ入ると、晩酌中のおじさんもいた。
「サキちゃんじゃないかぁ〜!いやぁ、久しぶりだなぁ。元気にしてたかい?」
「はい!無事に就職もして、今は陽路君にいろいろとお世話になってます!」
「そうかいそうかい!辛いときはいつでも頼っていいんだからね。この町での親だと思っておくれ」
おじさんのほうも若干パワーアップしてたみたい。寡黙な印象だったのが一気になくなっちゃった。
そんなあたしたちを見て、陽路君は大笑いだった。