いじめ
もう、ショックなんだけど。


私は何だか急に恥ずかしくなって
俯く。


英語をみんなの前で話すのは
やはり少し恥ずかしいもので。


私が今見ているのは四角い消しゴムに
黄色の鉛筆のみ。


キーンコーンカーンコーン…。


その時、ちょうどチャイムが鳴って
坂井先生が慌ててみんなを立たせた。


「学級委員。」


「起立。
 …礼。」


学級委員の桃子ちゃんがそう言って
クラス全員、一斉に頭を下げた。


ため息をつき、私は英語の教科書とノートを
机の横にかけてあるカバンの中に
詰め込む。


「美羽、格好良かったよぉ。」


「ん、何のこと?」


「何のことって英語のことだよ!」


ああ…英語か…。
彩ちゃんにもそんなに頭悪いって
思われてたのか…。


「彩ちゃん…私、ショック。」


「な…何で?!」


「だってぇ…。」


話してると担任の先生、
青井先生が入ってきた。


さっきの話、聞いちゃったし、
顔を見辛い。


ここで同情の眼差しを
注いだら最悪でしょ?


だけど、冷静に青井先生の
目を見ろって言われても、私、
無理だと思う。
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