いじめ
「違う!
 彩ちゃんは悪口なんて
 言わない!」


思わず叫んで上履きを床に思いっきり
叩きつけてしまった。


2人ともビックリした顔でこっちを見ている。


「千恵美ちゃんも信じて?
 彩ちゃんは何も悪くない!」


上履きの中に足を突っ込み、
クルリと踵を返し…
私は教室へと続くスロープの方へ
走って行った。


ごめん…これ、八つ当たり…。


でも、彩ちゃんは悪くないもん。
多分…私が悪いだけだよ…。


私があんなことを言ったからでしょ?


本当にごめんなさい───
彩ちゃん…。


千恵美ちゃんたちにも
悪いなと思いながら、
教室の前までくる。


2-B組。


彩ちゃんに話しかけないと。
誤解、解かなきゃ…。


ドアを開ける。
教室にはいつもの雰囲気が漂う。


目が合った子たちに
おはよう、と言いながら
私は自分の席に着いた。


隣の席の純君は既に席に着いていて
勉強なんてしてる。


…と思ったらなんか紙切れに
書いていただけだった。


そだよね、純君が勉強なんて
自主的にするわけがないもん。


なんて、失礼なことを考えながら
挨拶をした。


「おはよう、純君!」


「よ、美羽。」
< 20 / 93 >

この作品をシェア

pagetop