いじめ
顔を上げて純君が、可愛い笑顔で
挨拶を返してくる。
教室内に…何で彩ちゃんがいないんだろう。


どうして…?


私は周りを見渡して、首を傾げた。


それからカバンを机の横に掛けたところで
美羽ちゃん、と声を掛けられた。


…ん?


「あ…千恵美ちゃん、桜ちゃん…。」


そう、その2人が後ろにいた。


「あの…さっきは…ごめんね…。」


反省して、目を瞑り、謝った。


「ううん、あたしたちから
 謝ろうと思って。
 だって美羽ちゃんは
 彩ちゃんを信じてるんだよね。」


「え…?
 …有難う。」


謝られるなんて思ってなかった私は
思わず目を丸くしてお礼を言った。


「本当、ありがと。
 なんか嬉しい。」


「ううん、じゃあね!」


2人とも、教室に着いたばかりみたいで
それぞれ、自分の机に戻って行った。


「…彩ちゃんはどこにいるかな…?」


思わず独り言を漏らすと、


「他の女子に聞いてみればー。」


「え?
 …じゃあそうする。」


純君が話しかけてきた。
純君、何のことか分かってるのかな?


私は学級委員の桃子ちゃんにでも
聞こうかと、桃子ちゃんの机に目をやった。
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