いじめ
うん、朝から読書してる。
多分難しい本なんだろうな。
でも、暗い子じゃなくて
ハキハキしていて明るくて
誰に対しても公平なんだ。


とても良い子で、
学級委員に相応しいと思う。


「桃子ちゃん。」


肩を軽く叩いて話しかけると
桃子ちゃんは顔を上げて
無造作に切りそろえてある
前髪を揺らした。


大きな目がキラキラしている。
耳の横で、可愛いピン留めが光った。


「あ、美羽ちゃん、おはよう。
 どしたの?」


美羽ちゃんから話しかけるなんて
珍しいじゃん。
…って嬉しそうに言う彼女に
少し申し訳なく思いながら
私は質問した。


「あの、彩ちゃん見なかった?」


「彩ちゃん…?
 んー教室にさっき来たけど
 すぐに出て行っちゃったよ。」


「えっ…本当…。
 桃子ちゃん、ほんとありがと。」


じゃぁね、と手を振ると私は
教室をあとにした。


どこに行ったんだろ…。


私、彩ちゃんが行きそうなところとか
全然分かってない…。


親友って軽々しく思ってたけど…
言っていたけど…


彩ちゃんは私のことを親友だなんて
更々思ってないんじゃないだろうか?


辛い時に行きそうな所?


そのくらい、分かっていないと。


だって、親友なんだから───


彩ちゃん、ごめんね。
今から行くから…。
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