いじめ

「例えばそういう部分とかね。」


「そう言う部分…？」


慌てて口から手を離した。
私が驚く時…
いつも手に口を当てるよ？


それが…何で嫌なの…？！


愛美ちゃん…理解できません。


「そう。
　いかにもぶりっ子って感じで
　ウザいよ。
　多分みんな思ってるし。
　彩だってそう思ってるでしょ？」


愛美ちゃんが彩ちゃんの
肩を掴んで、彩ちゃんの顔を
覗きこんだ。


ドキっ…。
なんて答えるんだろう…。


ぶりっ子なんて思われてた…。
凄くショック…。
私…私…。


「…ってない。」


え？
彩ちゃんが決意したような顔で
顔を勢いよく上げた。


その弾みで愛美ちゃんは彩ちゃんから
手を離す。


「思ってなんかない。
　これが美羽。
　全部含めて美羽。
　美羽はただ上品なだけ。」


「…！
　こんにちは、とか言うのって
　変！普通じゃない！
　変わってる中学生だと思う。」


綾実ちゃんが叫んだ。
彼女のソプラノの声が
女子トイレ室に響き渡る。