いじめ
「…愛美ちゃん…。」


「愛美は…多分、
 美羽ちゃんのこと、
 気に入らないみたい…。」


…気に入らない…?


「私たちも気に入られてなかったよね、
 柚花。」


柚花って呼ばれた田邨さんが
うん、とニッコリ笑った。


田邨柚花さん、っていうみたい。


ビューと、北風が吹き、
思わず南に顔を向ける。


「さむっ…。」


「…美羽、あたし本当のこと言う…。」


今まで黙っていた彩ちゃんが
顔を上げて口を開いた。


いつもピンクで綺麗な唇が
紫に変わっていて本当に具合が
悪そうだった。


…大丈夫かな…。
…本当のこと…?


「うん…。」


愛美ちゃんが話していたこと、
全然わからなかったけど
今、理解出来る…んだよね…。


私は、彩ちゃんにマフラーを渡し、
彩ちゃんの口から出てくる言葉を
待った。

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