いじめ
イライラして、
いじめられっ子という自分の立場を
一瞬忘れ、去っていこうとしたが
次の瞬間声を上げてしまった。


「いたっ…!」


状況がつかめない。
今、足首に何か引っかかった?


…愛美ちゃん?


学校の廊下の床に思いっきり
倒れた私は
みんなに多分注目されているだろう。


膝を思いっきり擦り、
火花が散ったかと思った。


倒れたまま両手を
冷たい床に着き、
振り向き、叫んだ。



「な…何するのっ!」


…声が震えた。


A組の教室から出て、
私の方へ愛美ちゃんたち。


私の顔がある所で
立ち止まり、愛美ちゃんは
私の顔を覗いた。


今は私にしか見えない愛美ちゃんの顔。
整った顔だけど…怖かった。


愛美ちゃんの口角が
ニヤリと徐々に上がっていくのが
やけにはっきりと見え、
思わず身震いする。


「美羽ちゃん、酷いっ!」


愛美ちゃんが言った言葉を聞いて
私は耳を疑った。


廊下を歩いていた人たちは
野次馬になり、私たちを
丸く囲み、耳を澄ましている。

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