いじめ
陰口叩かれているのは私。


哀れに思われて同情されているのが
愛美ちゃん…。


そしてチラッと愛美ちゃんを見て、ただ驚いた。
呆れてる余裕なんてなかった。


だって愛美ちゃん、
こっち見てニヤって笑ったから。


涙なんて一粒も零れてないから。


酷い…。


「わ…私何のことか知らない…!
 克己君て誰?!」


やっと声が出せた。
でも…なんか…。


綾実ちゃん自分の出番だと
察したのか意地悪く笑い、
愛美ちゃんに同情した。


「とぼけちゃってさ~。
 南高校の克己君だよ?
 愛美、超可哀想じゃん…?」


「うわ…南校の人に
 手出したんだ?」


「見かけに寄らないもんだねぇ~。」


私はみんなに同情されている
愛美ちゃんを睨んで
立ち上がり、人だかりを縫って
その場から立ち去ろうとした。


だけど…。


「いった…。」


誰かに足を引っかけられ、
また転ぶ。


「最低~。」


誰だかはわからない…。
でも消えてしまいたい、と本気で思った。
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