いじめ
…でもここで泣くのは癪に触る。


私は溢れだした涙に
気が付かれないよう、
下を向いて唇をギュッと噛んだ。


本当に…有り得ない…
辛い時って涙が自然と出る。


「酷い…。」


出掛けた言葉を呑みこみ、
今度こそ、と床に手を着き
私はその場を去った。


走って走って走って…
私は止まらない。


こんな勢いで走っているから
今は注目浴びている。


きっと。


そして悪口を言われているんだ…。


なんてどうかもわからないことまで
決めつけて…
1人で悲しくなる。


どこにも当てがないことを
中1の廊下辺りまで走った時、
認めて足を止めてみる。


彩ちゃん…ごめんね…。


周りを見渡すと
あまりこっちを見ている人は
いなくて。


中学1年生は友達と
仲良さそうに教室に
入って行っていた。


…───もうすぐ授業の時間だ。


戻らないと。
だけど戻りたくない。


ためらっていると
肩を掴まれて


「えっ?
 彩ちゃんっ?!」
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