いじめ
「…あたしさ…。」


彩ちゃんがめちゃくちゃ
言いにくそうに言う。


…何を言いたいんだろう。


彩ちゃんはしばらく
制服のチェックのスカートを
手で何気なくいじったり
靴下を膝まであげたりしてたけど
また、口を開いた。


ピンクの唇が戸惑ったように
動き出す。


「…先生に言おうかなって思う…。」


え…っ?!
私はビックリして彩ちゃんを見た。


彩ちゃんもこっちを見ている。


真剣な瞳は揺らいでなんかいない。
少し茶色の真っ直ぐな瞳。


「…だって、美羽がこれ以上傷つくの…。」


「私はどうだって良い…!
 私の為ならそんなことしなくて良い!

 でも彩ちゃんが先生に言うなら
 それはそれで良い。」


私は彩ちゃんの言葉を
遮って、声を思わず荒げた。


「…美羽…。」


彩ちゃんが手でギュッと
握りこぶしを作る。


「…先生に言いたい…。」


「…分かった。」
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