いじめ
「はぁ…。」


私は家に帰り、自室に入ってから
何度かのため息を漏らした。


…どんどん幸せが飛んで行く。
しかも目の前で。


「たっくん…。」


ベッドに座り、ただ呼んでみる。
彩ちゃんと喋っていたかった。


だけど彩ちゃんといるとずっと


いじめ───


この言葉だけが頭の中を
支配しているようで…。


堪え切れなくて。
お互い辛いから
勝手に早退。


カバンを取るため、
一度教室に帰った
その時はちょうど昼休み。


みんなからは冷たい視線と
酷い中傷の言葉を浴び、
彩ちゃんと私は
何も言えずカバンを持って
教室を飛び出したんだ。


コアラのぬいぐるみを目の前に
私はまた涙を零した。


「辛い…。」


早めに家に帰ってきてしまったため、
家には誰もいなかった。


まだお昼を食べていない。
お腹はあまり空いていなかったけど
私は1階へ下りた。
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