いじめ
眠った後は
気持ちも体も
スッキリしていて
私は目覚めも良かった。


珍しいことに。


「あの、ちづるお姉ちゃん、
 メモ、さっきは有難う。
 私、何かあったら言うね。」


…素直に言ってみた。
でも、ちづるお姉ちゃんには
言うつもりなんて
これっぽっちもないんだ。


頼りにならないからじゃないよ。
ただ…
自分でもなんて説明すればいいのか
なんて分からない。


「…そう。
 良かった、元気になって。
 じゃあ早く下りてきてね!」


ちづるお姉ちゃんは
ふわふわの愛おしい髪を
揺らしながら
ドアを開けて、部屋を出て行った。


トントン、と軽い足音。
きっと階段を下りて行った音だ。


本当に優しい。
本当に頼りになる。


だけど、私は
相談出来ない…。


今なら分かる。


(心配掛けたくない。)


って気持ち。


だけど、そういう綺麗事、
以前に、私は…。
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