いじめ

…何？
一斉に携帯が鳴るなんて
凄く珍しいような気がするけど。


…と思ったら、
彼女らは、カバンの鈴の音や
キーホルダーの音をやかましく
鳴らしながら私を追い越して行った。


つまり、走って行った。


「…？」


私は小首を傾げたけど
校門から吹き出しているたくさんの
人ごみにまぎれて、
昇降口へと向かった。


…あれだ、靴箱の中に
何か入っているかもしれない…。


私は用心しながら
靴箱を開いた。


ギイって音とともに
靴箱の蓋が開き、
中を恐る恐る見てみる。


もし…何か入っていたら、どうしよう。
それを見られたら周りの人に
"いじめ"に合ってるんだ、って
思われちゃう。


恥ずかしいというより…
好奇心で満ちた目で見られるのが
嫌だった。


「きゃっ…。」


や…やだっ…！


私は予想外の出来事に
思わず目を見開く。


普通、画鋲とか…
石とか…あと、悪口書かれた
紙が丸めて靴に
詰め込んであったり。


…なのに…。