いじめ
…これも作戦のうちでしょ。


でも、今までそうやって
省かれたことがなかった
私にとってはかなりキツくて。


涙腺が緩くなっていくのが
分かる。


唇を噛まないと、
足を踏ん張らないと、
指に力を込めないと、
一気にぷつんと細い細い糸が
切れていきそうな感じだった。


私はなるべく
周りを見ないようにして
下を向いて自分の机に近づく。


誰かに足を引っかけられるかもしれない。


もしかして、
チョークの粉がたくさん付いた
黒板消しを背中に
投げられるかもしれない。


これだって勝手な想像だった。
なのに今のみんなは
やりかねなくて
私にはため息をつく余裕なんて
全然なくなっていた。


机に着いて、
椅子を引いて座って、
カバンのチャックを開けて
中身を出す。


中の物に落書きされてるかもしれない…!
私は急いで中の教科書を
見てみたが、落書きは
一切ない。


そして、ふいに黒板を見て言葉を失った…。


(藤井美羽は高西和美のことを覚えてなかった!)


その紙の周りには、頭悪い、キモイ、
死んで、ありえんとか…数々の中傷…。
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