いじめ
洗ってこなくちゃ!


急いで立ちあがると
スカートに重みを感じる。


…恐る恐る振り返る。


椅子がスカートにくっついている───


「…っ?!」


息を呑んで走り出そうとした。
だけど、何かに引っ掛かったのか
転んでしまった。


「あらぁ…
 椅子までお持ち帰りー?」


女の子の誰かが言った。


…酷い!
自分たちがやったくせに…。


酷い、酷い…
酷過ぎるよ…!


手で椅子を剥がしたいけど
手だって接着剤がくっついている。


どうしようか途方に暮れて
そのまま廊下に走り出そうと
した時。


「…美羽ちゃん…!」


声がして
私は声の音源に
首を傾けた、つもりだった。


だけど何も見えない。
白で覆われた。
布かな…。


なんて思っているうちに声が聞こえた。


「先生ー!
 こっちですぅ…!」


それは、先生を呼ぶ、恐ろしい
恐ろしい敵、愛美ちゃんの声だった。
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