いじめ
「…先生、よくわかってんじゃん。」


そう言って笑った彩ちゃんの
横顔は素敵な笑顔だった。


だけど、心から微笑んでないことは
この私にだってわかる…。


「俺の前の学校でも
 いじめあったんだよね…
 だけど、どうすればいいのか
 わからなかった。」


青井先生、真剣な面持ち。


「え…?」


「いじめられてた子、俺が何も
 出来ないうちに転校して行った。」


…そうなんだ。


でも、いじめっ子に先生が
注意したら、
いじめられっ子は、
チクったって言われる。


絶対にいじめはエスカレートするだろう…。


「…でもさ、いじめられてる側になって
 考えてみれば、
 先生は注意しないほうが良いんだなぁって
 思った。」


「…そうかもしれない。」


私は呟いた。


「だって、いじめはエスカレートする…。
 先生は…何すればいいの?」


それ、多分青井先生が
聞きたいだろう。


だけど、思わず聞いてしまった。
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