いじめ
案の定、青井先生は少し悩んだ。


そして彼が
口を開こうとした時、
生徒たちの声が一気に聞こえてきた。


中休みだから、みんな
キャンティーンなどに行って、
食べ物でも買うんだろう。


「ごめん。
 考えとくよ。
 …俺に出来ることあったら言って?」


青井先生はそう言って
人混みに紛れて行った。


そして、ハッとした。
愛美ちゃんたちに見つかったら…
ただじゃ置けない。


怖い、怖い…怖い…!


さっきの保健室での出来事が
脳内にフラッシュバックして
パニック状態になった。


私は彩ちゃんの存在も忘れて
無我夢中になって走った。


向かった場所。


2年B組。


私の居場所なんてないのに。
それくらいわかってるのに。


「美羽…!」


彩ちゃんの声で我に返って
速度を落とし、振り返ってみた。


「あ…彩ちゃん…ごめん。」


「いや…愛美怖い…あたしも。」
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