秘密にし・て・ね(前編)
億ションに住む彼
タクシーから降りると見上げるような高層ビルが目の前に聳え立っていた。
さて、佳奈は夏樹を抱えるように歩きマンションの中に入っていった。
「藤堂さん、何階ですか?鍵はありますか?」
佳奈はわざと耳元で話したので夏樹は少しねむそうな目を開けて
ふらふらしながらエントランスに入り手馴れたようにオートロックを解除して
中に入ろうとした。
佳奈はそれを見届けると
「藤堂さん、今日はお疲れ様でした!ようやく起きたみたいだから私帰りますね」
そう言って帰ろうとした瞬間、佳奈は腕を掴まれた。