秘密にし・て・ね(前編)
絶対に泣かないって決めたのに次の夏樹の行動で目のふちにたまっていた涙が決壊した。
「佳奈・・・・」
そう言って夏樹は去っていこうとする佳奈を後ろから抱き寄せた。
「やめてよ・・・・もう私達は終わりでしょ?」
そんな風に抱きしめないでよ・・・・
後ろから抱きしめる夏樹がわずかに震えていた。
不意に私の腕に冷たいものがポタリと落ちてきた。
「・・・・・・・ッ」
夏樹・・・・泣いてるの?
佳奈は振り返ろうとしたがそのまま夏樹に正面から抱きしめられてしまった。
暖かい胸だった・・・・
前と変わらない
私の大好きな夏樹の胸だった。
佳奈は腕を回して夏樹の背中に回した。