秘密にし・て・ね(前編)
「ねえ、ここいいかな?」
「・・・・・」
「聞こえてる?ここ座っていい?」
しつこい・・・・と思いながら
私は相手の顔も見もせず
「どうぞ」
とだけ言った。
「一人で飲んでるのつまらなくない?」
「別に・・・・」
「ねえ、君そっぽ向いてないでこっち向いてよ」
私は別にあなたとなんて飲みたくないのよ!
って言ってやろうと彼のほうを向いた瞬間
私は一瞬あまりにビックリして時が止まった
かのようだった。
だっていつもテレビでしか観たことがない
人物が今私の横でにっこり笑って座っている
んだもん。