続・あなたの時計
コップを持つ手のしわの向こうにこの人の生きてきた証を垣間見たような気がした。



ちょっと待っておくれ。

そう言うと、傷だらけの机の引き出しから、色あせた破れ掛けの世界地図を取り出して、何かを呟きながら人差し指で世界を旅し始めた。



考えてみれば私は、この人のことを何も知らない。どこの生まれで、歳はいくつで、ここに来るまでは、何をしていたのか?


ただ、判っているのは、この人には、家族がいない…ということだけ。



天涯孤独の不思議な占い師、るい婆。



だけど…


随分前からこの人を知っているような…
それとも、どこかで会ったことがあるような…


どこか懐かしい、そんな不思議な感覚の中に美羽は、いた。
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