突然の出逢い
さっき泣いたせいで、涙腺が緩んでる・・・

優しい沙奈は、怒っていてもやっぱり心配を
してくれる…

「大丈夫。タクシーで帰るから!
だから先に寝てていいからね。」

「やっぱり迎え…」

沙奈が話している途中で電話を取り上げられた。

「もしもし。わたくし工藤と申します。」

「え?
工藤さんって…姉はあなたに泣かされたんですか?
もしそうなら、姉から離れて下さい。」

「ちょっと、携帯返して!!」

身長が低い私は、ぴょんぴょん跳ねながら、
携帯を取ろうと必死だった間に

「君のお姉さんを泣かせてはいないよ。
それに、お姉さんは僕が明日の朝家まで
届けるから心配しなくて良い。」

とんでもない発言をされた。

「姉に代わって下さい。」

「もしもし…?沙奈?」

「お姉ちゃん?どういうこと?
その工藤さんはお姉ちゃんの彼氏なの?!
何で、お姉ちゃんが泣いていたのか教えてくれなかったら、
パパとママに言いつけるわよ!。」

「沙奈、落ち着いて?それに、パパとママには
黙ってて。。。私、まだ沙奈と一緒にいたいよぉ…ヒクッ…」

「私だって、お姉ちゃんとまだいたいよ…
じゃぁ、今夜は誤魔化しておくけど、明日はちゃんと
話してね。何かあれば、すぐに電話してね。」

「うん…ありがとう…また明日ね。」

電話を切ってから、隣をみると険しい顔をした
あの人がいた。

「あの…先ほどは、ありがとうございました。
私、ここからタクシーで帰りますので、社長も…

うきゃぁ!」

人が話している途中で、社長に担がれてしまった。
スカートじゃなくてよかった。。。
ってそんな呑気なことを考えてちゃダメじゃん!

「降ろして下さい!おろし…」

「少し、黙ってろ。」

さっきよりも低い声で言われてしまった。

なんで?
なんでこの人が怒ってるの?

私どこに連れてかれちゃうの?

降ろしてもらったと思ったら、目の前には車が

あれ? 今朝、この人電車だったよね??

車??

「あの…」

「乗れ。」
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