突然の出逢い
なんで、不機嫌なの?

しかも乗れって…

「早くしろ。」

「は…はい…。
あの、私どこへ?」

恐る恐る疑問をぶつけてみた

「俺の家。」

「え?! いや! 帰ります!」

ドアを開けて出ようとしたら、鍵を閉められた。

どうしよう…

沙奈にお迎え来てもらえば良かった…

ポロポロ涙が落ちた。

「大丈夫だよ。何もしないから。」

「うぅ…グス…」

「お前、結構泣き虫なんだな。」

頭を撫でながら運転しているこの人に
なんだか癒されてたのかも…

車に乗ってから20分くらいで、
大きなマンションについた。

「降りろ。」

黙って、俯いたままでいると
運転席から出て、助手席まで来てドアを開けた。

「降りろって。
また、担がれたいの?」

担がれるのはイヤ。
でも、降りるのもイヤ。

そう考えていると突然

フワッ

「お前、軽いな。飯食ってんの?」

そう。
抱きあげられてしまった…
しかも、お姫様抱っこっていう名前の
抱っこを…

「降ろして… 自分で歩けます。」

「めんどくさいからこのまま。」

めんどくさいって…

そんなことを言っている間に
この人のうちに到着。

玄関で降ろしてもらい、靴を脱いだ。

「オジャマシマス…。」

小声で挨拶をし、手を引っ張られる感じで
リビングに通された。

ソファに座っていると、横からマグカップが出てきた。

「ココア。飲めるだろ?」

何でこの人は、私が不安なときに飲みたくなる
ココアをしっているんだろう…
< 18 / 31 >

この作品をシェア

pagetop